kozosannokotoの日記

コーゾーさん81歳、左半身不随意、売れない絵描き。そのコーゾーさんの娘が書く介護日記です。

2022-01-01から1年間の記事一覧

蕎麦屋とアイスクリーム

「老人が二人しかいない家なのに、やたら箪笥多いんですよね。」 「あ、言われてみれば」 「5つあるんですよ」 「…(数えながら)ほんとだ、5つもある」 義理兄弟とそんな話をしている。 コーゾーさんも入院して、夫婦二人が退院してからの介護ベッド2台が…

山の住人の出血

医「かなりの貧血状態ですよ。フラフラしない?」 コ「んーどうかなぁ」 医「しない?私でもこんなに血が少なかったら、フラついていますよ」 コ「…そう言われたらそうかも知れないけれど…」 医「あと、酷い糖尿病だね。(私の方を向いて) 酷いですよ」一年ぶ…

申請手続き

「三回ほどいらしていますね。記録に残っています」 コーゾーさんの名で役所の福祉課に連絡すると、そう言われた。 記録とは、生活保護申請の相談にコーゾーさん夫婦で出向いた回数。 高齢夫婦で一人は左半身不随の障害者、生活費はわずかな年金だけになって…

坂道

郊外の団地街、午後8時過ぎにめっぽう車が少なくなる。 ベッドタウンは夜が早い中学生の頃、ブレーキの甘い自転車で、思いきり坂道を降った事がある背後で少年達のはしゃいでいる声がした 勢いよくスケボーが坂道をくだり追い越していった 少し間を置いても…

ニュー・ヤマノ・ジュウニン

午後のワイドショーで長渕剛が歌っていた その番組では12年ぶりの登場らしく、12年というと東日本震災の少し前か確か、10年くらい前に「神様お願い」的な歌詞があったと思ったけれど、 その日の新曲では「神様なんか信じない」に変わっていて、何があったの…

コーゾーさんのこと の 日記を始める

「あのファミレスまだあったんだ。誕生日になると家族で行くとこだったんだよ」車を運転している夫にボンヤリ話しかける。 夫もボンヤリ聞きながら、ナビを確認し運転している。 11月の空は寒々と曇っていた。6年前、母を火葬する朝に父を迎えに行った。 私…